何をとち狂ったか夢的なもの。腐向け?
苦手な方は、ばっくぷりーず!
あと主人公及び雲雀以外のオリキャラが狂ってるのが苦手なお方も逃げて超逃げて。
人殺し、ねぇ。君がそう呟く。
「…君は、」
重すぎる罪の呵責に、君は今、この場で喉をかっ切って死んでしまうのだろうか。そんな事は、他愛のないことだけれど。
「死にゃしないさ。俺は死なない。一応、目的というものもあるからね。あぁ御覧姫子、世界は皆俺の敵だ。昔想像した事が、今現実になるよ。」
「……それは、望み?君の望みは、自分以外の全てを敵に回すこと?」
見当違いを承知で訊いてみる。それは子供の様な遊戯。
「何を言っているんだ姫子!俺は君だけを見ていたいんだ。それ以外を見ていたくなどないよ。」
「……。」
無駄だとは、判っていた。ただ試しているんだ。精密な機械にも起こるバグを引き起こしたい。
隣の機械が火花を散らす。そしてそのまま動かなくなった。
「今から一分後、見知らぬ男が此処に来ます。180台の大きな人。ナイフを持って俺か君かが刺されます。」
多分、先程すれ違った男だ。
俺が狂わせた男。ガラクタのネジをはめられた男。狂ったネジを持った男。
可哀想な男はからくり人形に為って、やがて滅ぶ。
「……っ!」
キンッ
金属と金属がぶつかる音。
男の持つナイフが弾かれ、コンクリートに転がった。
大丈夫だよ。貴方は何も悪くない。俺が側にいただけ。
そう、運が悪かったんだ。可哀想可哀想。貴方が俺の側に、すれ違ったりしなければ、きっと貴方は普通に、早死にしただろうに。
不満の溜めすぎは狂う引き金を引きやすくする。弱い心ほど、狂うのだ。
「大丈夫ですよ。未遂ですし、刑も軽く済むし、仕事しないで済みます。難点は一生病院で過ごすって所ですかね。出れないし。ある種の檻ですよね。」
あの金属音は未だ脳内を反響している。
澄んだ、高い音。
「雲雀恭弥さん。君はこの俺のために何が出来ますか?」
俺を中心に狂い始めた世界に飛び込んできた君へ、
君は何故この世界にやってきた?
-baroque world-
ヒバリこと雲雀恭弥は、何時もの様に応接室に居た。
ただ違うのは、ソファーに一人の少年が横たわっていると言うこと。群れるのが嫌いな雲雀にしては珍しい事だ。
「………。」
白く、細い体。長袖シャツと黒のスラックスに身を包む少年は、死んだ様に眠り続けていた。
本当に死んでいるのではないか、不安になった雲雀は呼吸を確認する。呼吸はしていた。
「…はぁ…。」
雲雀は自分のらしくもない行動にため息をついた。
雲雀は、生まれてから誰かの生死を心配したことなど一度もなかったからだ。
「…なんなの、君は。」
「俺は、俺ですよ。」
「そういう事じゃないよ。」
「他にないんですよ。自分のことなんて忘れてないといけない、そういう規則なんです。だから俺は木野姫子。」
目を閉じたまま紡がれる言葉に嘘は無く、あるのは漠然とした事実だった。
「木野姫子は木野圭弥の物でなくてはならない。これも規則です。あの人は狂った。前代にして初代の姫子に入れこみ過ぎて。狂い方は個人個人違います。潜在的な欲望だから。あの人の狂い方は“愛した木野姫子を創り出す”こと。俺はあの人の為に生きなきゃいけない。生きて生きて、何時か本物の姫子を創り出すための贄として死ぬ。」
「…君の意思はどうなの?」
「さぁ…どうなんでしょうね?もう大分本物を捨てました。そろそろ本当に木野姫子になると思います。」
本物とはつまり、木野姫子になる前の彼。名前を忘れた少年の本質であり根本。
全てを空にすることで、少年は姫子と呼ばれる少女の器となる。
「狂ってるね。」
「僕もそう思います。あの人も僕も、おかしいんです。だって、そうじゃなきゃ周りを狂わせるなんて出来ないでしょう?」
「どういう意味?」
「言葉通りですよ。僕の周りの人間は狂っていく。ネジがイカれるんです。さっきの男は被害者なんですよ。」
嫌になる位の正確な歪。いびつな歯車はやがて全体に影響し、全てを壊す。
「だから、もう二度と僕の世界には戻らないで。」
一度ならず二度までも、雲雀は彼に関わっている。それでも正気で居られるのは、雲雀が強いからだろう。
心の弱さに比例し、彼の力は強く、深く浸食する。
だが、いくら雲雀が強いと言えど、限界はある。何時かは浸食されるだろう。
そう、あの男と同じ様に。
「さようなら。雲雀さん。二回だけでしたけど、楽しかったです。」
「それは、姫子が、かい?」
「…。」
少年は振り返る。
その顔は――
baroque world
周りを狂わせるある種の台風というイメージで作ったキャラ。
姫子という固有名詞に塗り変えられた『少年』には名前がないので名前変換なしにしました。
文章構成は最初から狂ってます。歪んで狂った愛と狂わせた母子の悲劇的喜劇。
あまりに酷い(というか需要が無さ過ぎて涙目)のでボツったのをこっちに格納。
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