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箱豆腐
性別:
非公開
自己紹介:
病名:都会中毒、PC中毒、ゲーム中毒、妄想性

備考:最近ようやく世間慣れしはじめました。

早く大人になりたい一方子供で居たい矛盾で構成されてる。

内向的なので交友関係が狭く浅い。

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バイトを終えて家に帰ると、
妹がメイドだった。



「お帰りなさいませ、ご主人様」
「……………あ、あぁ。ただいま」

黒基調の長袖、踝丈のワンピースに、白いレースが控えめにあしらわれたエプロン。
それに合わせたカチューシャが可愛らしい、ステレオタイプなメイドだ。美人な妹には何を着せても良く似合う。中身はとんでもなく残念だけど。
一瞬メイド喫茶だったかと思い玄関から表札を確認する。
真崎と書かれてることから間違いなく俺ん家だと分かって安堵した。

「お夕食になさいますか?それともお風呂になさいますか?それとも橙花になさいますか?」
「メシ一択」
「かしこまりました」

そして何時もの挨拶をする橙花にやっぱり安堵する俺。最後の選択肢の必要性なんか、考えるのも飽き飽きだった。



「で」
「?」
「なんの真似だよ橙花。メイドになんかなって」

メシ食って一段落したあと、おかしな事になっている我が妹に事の次第を問う。
とりあえず俺の知っている橙花は人に奉仕するのが好き!という殊勝な性格でも特殊な性癖でもない。
…度を越えた兄好きってのは特殊な性癖だけどな。

「はい、橙花は深く反省しております。」

…あれ?なんだその反応。何時も通りじゃない。
何時もならもっとこう、「私の勝手でしょ?」みたいな…ツンツンな反応をするのに。
それこそ今どき流行りのツンデレ妹の様に…。

「ご主人様の趣向にも無関心で…私は今までずっとただの妹の様に振る舞っておりました」
「いやただの妹はノーパンノーブラで兄の部屋に乱入して押し倒したりしねぇし」

本当に残念な美人だよお前は。

「でも…でも!橙花は見てしまったのです!ご主人様の部屋から…この本を」

す、と差し出されたのは…エロ本だった。
しかもメイド特集。ミニ丈スカートのロリ子ちゃんも、知的な印象の眼鏡ちゃんも、更にはクラシックスタイルの巨乳ちゃんまでもがあられもない姿を晒している。お気に入りの一冊だ。

「おまっ!クローゼット荒らしたのかよ!」
「申し訳有りませんご主人様。どうしても気になってしまって…」
「てかあの場所なんで分かった!?」
「上げ底式なんて、燃え上がってしまったらどうしようかと思いました」
「嘘だろそこまで見抜いてんのかよっ!?」
「ご主人様の事ならば、どんな事も把握するのが、メイドの務めで御座いますわ」

何この子超怖い。
前々から思ってたけど俺より俺の事知ってるとかマジ怖い。俺橙花の事殆ど知らないのに。変態だって以外は。

「ご主人様、お風呂の用意が整いました。お入りになってくださいませ。」
「この流れでそう来るか。わーったよ。入る入る。だから入ってくんなよ。背中流しとかマジ要らねぇからな」
「そう…ですか…」

え、マジでやる気だったの?



☆―――――――――☆
次の日その話をしたら友人にバカウケされたお兄ちゃんでした。
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「チェレフ!チェレフー!」

少女は自らが名付けた猫の名を呼ぶ。
銀の毛並みが美しいその猫は、少女に歩み寄り、にゃあと一鳴きした。

「私のお話、また聞いてくれる?」

少女が語るのは、現実とはかけ離れた異世界の話。
狭いこの世界では、少女が居ざるを得ない世界ではあり得ない、空想。

「メイ」
「お兄ちゃん」

扉を開けて、入ってきたのは少女の兄だ。
少女にとって、真っ白なベッドよりも安心する存在。拠り所。

「ダメじゃないか、窓を開けて。体を冷やしたら風邪を引いてしまう」
「大丈夫よ、今日は暖かいもの」
「もしかして、また猫とお話ししてたのかい?」
「うん」
「部屋には入れてないだろうね」
「チェレフは良い子なのよ。ちゃんとお兄ちゃんの言いつけを守ってるわ」
「なら良いんだ」

少女は、病に伏せていた。
治る見込みの無い、絶望的な病。
余命も幾ばくか、大人になることさえ叶わない。
その事実を知ってか知らずか、今日も少女は笑顔を絶やすことはなかった。

「ねぇお兄ちゃん」
「なんだい?」
「世界は、素敵だね」

その言葉に、兄と呼ばれた男は息をつまらせる。
少女が素敵だ、と賛辞する世界。
その世界は少女の空想だ。実在などしない。
それでもその世界に、少女は笑顔を向けていた。まるで、恋をしているかのように。

だとしたら、なんて報われない片思いだろう。
男は少女の頭を撫でた。

「あぁ…素敵、だな」
「お兄ちゃんもそう思ってくれる?」
「…勿論さ」

何度めかの嘘を積み上げて、男は寂しげに笑った。
少女はその笑顔の真意にまだ気がつかない。




☆――――――――――――――☆
リハビリ作。報われないのは一体誰か。

爽やかな梅雨の谷間。
久しぶりの休日というのもあって、俺は妻の幸枝と共に散歩に出かけた。
用心に越したことは無いと、傘を持って。

歩き慣れた道を進む。後ろには幸枝が三歩下がってただ付き従っていた。

言葉など無い。必要もない。
言葉など逆に煩わしい。

不意に、幸枝の足音が消えた気がした。
けれど、振り返らない。
妻を―幸枝を心配し、振り返る俺を、幸枝は望んでなどいないから。
例え幸枝が泡となって消えていたとしても、俺は決して振り返りはしない。

顧みたりなど、しない。

壊れた傘を差し、俺は行く。
頬に、雨が流れた。

其処には返れない、帰らない。
俺は最後まで、お前の望む俺で居たいから。


 

自作お題サイトには一応抜き出し2つからとなってたのでもう一個

お題:溶けてしまった甘いチョコ






ポケットの中にはチョコレートが1つ

ポケットを叩くとチョコレートはドーロドロ


「あげるよ、チョコレート」

「はぁ…」

「いや?」

「というか、すでに原型を留めてないチョコレート渡すってどうなの…」


本来ならば綺麗な四角形のチョコレートだったんだ。
ただねー、ポケットの中に入れといたら柔らかくなってたの。

そもそも君に渡す気なんて無かったんだよ?
ただあまりにも君が疲れた顔してるから、疲労回復の足しになるならと思っただけ。

僕、良い子でしょ?


「かわいー男の娘からのプレゼントだよー?そこは“君から貰ったものならそこに転がってる石でも国宝級の宝物だよ”くらい言えなきゃ駄目だなー」

「その台詞って…、はっきり言ってあり得ないよね」

「へ?」

「気持ちを込めるなら普通、石ころや雑草なんか送らないよ?」


まぁ、彼の言うことも一理ある。
心を込めるくらい大切なら手作りするよねぇ…
というか、君以外と非ロマンチストだったんだね。初耳だ。


「ものの例えだよ?」

「例えだとしたら…余計質悪い。人から貰ったものを石ころ呼ばわりなんて」

「難しいね君は」

「好きで女子制服着てる横井君に難しいって言われるなんて…」


石ころ呼ばわりも失礼だけど、それも失礼じゃない?
なんか僕が変な人みたいじゃん?僕は7割がた常識で出来てますよー?


「で、このチョコはどう?」

「え?」

「ただの石ころ?それとも国宝級?」

「…どうだろ?」


君はそう言って溶けきったチョコレートの個装を外しにかかる。
…え、ちょ、まさかのまさか…っ!?


「…どうしたの?そんな驚いた顔して」

「食べるの?」

「食べてほしくないの?」

「違う違う、溶けてて食べにくいよって話でね?」

「舐めれば平気だよ?」


君は個装の紙をチロチロと舐め始める。
可愛らしいといえば可愛らしい。ショタップルの僕らはそういう仕草はよく似合うから。
でも僕から見たらただのオカズにしかならない。
僕の妄想が充実すること間違いなしだね。
あ、なんならチョコレートプレイとか良いかもしんない。二人でチョコレート塗ったり垂らしたりして舐め合うの。

いやん!僕ったら変態!


「…どうかした?」

「君はチョコレートプレイとかは許容範囲内?」

「…なっ…!き、許容範囲外だよっ…!!」


あ、顔真っ赤。可愛い。
初だなぁ…フフフ…!


「山田君、口にチョコレートついてる」

「え、うっうわわっ!」


ペロリと、チョコレートを味見する。
甘い甘い、味がした。



寒いから、手を繋ごう。
そう言い出したのは彼だった。
俺は何の気なしに了承して、右手を差し出した。


「握手するときは右手を出すのが一般的な礼儀らしいよ」

「そうなんだ」

「利き手を差し出すことで、敵意が無いことをアピールするんだって」

「面白いね、左手が利き手だったり両手使える人もいるのに」

「昔は右利きが主流だったんだよ、多分」


不思議なことだなって思った。
どうして右利きが多いのかな…?


「かく言う俺らだって右利きだろ?」

「そうだったね」


クスクス笑いながら寒い帰路を歩く。
空は冬の澄んだ空気で青く、穏やかで薄い雲で飾られていた。
…ふと、頬に冷たい何かが落ちる。


雪、だった。


「風花だ。」

「風花?」

「山に積もった雪が、風に運ばれて下まで降りてくることを風花って言うらしいよ」

「…君はなんでも知ってるね」

「…そんなこと、ないよ」


プイッとそっぽ向く彼の耳は赤く、耳、赤いよ?と言うと「寒いから」と答えてきた。
照れ隠し、だと良いな。

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