番外な題名の無い物語。第一話『暴走魔術で痛い面子になっちゃった!?』
さて、まいどお馴染みある国ある場所ある四人組ですが…?
「これが…だから…こう組み立てて…。」
「確か研磨剤は…68番の薬と…102番と…」
事の始まりは、ほんの些細な事。
旅の休憩中…リーンが魔術の組み立て(要は新技開発)、サティスが自分の武器を磨こうと薬を調合していた。たったそれだけ。
しかし、それでもトラブル因子になりうるわけで…
ポゥ…
「あっ…出来た…」
「よしよし、これで良いはずだ。」
ここでもし、サティスが薬の瓶を閉めていれば、ここでもし、リーンが新技を試そうと魔法陣を書かなければ…
「お前ら何やってんの?」
「リーン君、ちょっと訊きたい事があるんだけど…」
ついでに、リーンに食べ物の好き嫌いはあるのか訊きに来たレックスとただ興味を持ったデュードが来なければ……。
こんな喜劇(←此処重要)は起こらなかっただろう……。
リーンは魔法陣を発動させようと陣を書いた棒切れを投げ捨てる。
それがサティスの薬瓶に当たり…
カツッ!コロンッ…バチャッ!!
「「へっ」」
ボシュ!ボコボコ…ボンッ!ゴゴゴゴゴゴ!!!!
(効果音の説明をさせて下さるのなら、ボシュ!が薬が陣に吸収(え)された音。ボコボコ…は地面から紫の泡が出てくる音、ボンッ!ゴゴゴゴゴゴ!!!!は暴走して魔力の竜巻が出で来た音です。)
そんでもって…
「痛たたた…なんだよ今の…」
「ゲホッ!ゴホッ!」
「リーン、生きてるか~?」
「人の心配してる場あ…けほ!」
不気味な色の風が消え、全員の姿が確認出来る位に視界が回復する…と
「………っ、くははははははははははははははは!!!!!!!!!!!!!お前ら何だそれっ!!おっかし…っ!!」
「なっ…!!デュード…それっ…!?」
「うっわー…痛いなー…」
「ははは…っ…へ…っ?」
予告通り猫で狼で仔兎で女の子な面子になってしまいました。さてさて…
ズガガガガガガガッッッ!!!!!!!
「おーぉ…派手にやったなぁ…」
「レックスー無ー事かー?」
「……死ぬかと思った…!!!」
奇跡的に(元とはいえ騎士団長なので当たり前だが)その身体能力でなんとか危機を回避したレックス。
やっぱりこんな格好でくたばるのは正直遠慮したいと思うのだろう。
「すげぇな半端者。」
「まぁ…レックスも一応元騎士団長だしな」
「なんだか凄い失礼だな。」
しみじみと思っていると、リーンがレックスに駆け寄る。
「ごっ御免なさい!!怪我はありませんか!?」
「だ、大丈夫だよリーン君…いや…ちゃん?」
まぁ、女の子ですから、君は変ですよね(笑)
と、言うわけで―――
It`s★どうしよう?会議ー
「さぁて、どうしたもんか…。」
何時もより声のトーンが高いサティスが呟く。
「半分はてめぇのせいだろサディステック。」
尻尾でバシバシと地面を叩くデュード。どうやら少し不機嫌だ。
「…スイマセン。僕のせいで…こんな事に…」
外見はあまり変わらないリーンがしょんぼりと俯く。
と、ここでレックスが疑問を口にする。
「…何でサティスだけ症状が酷いんだ?」
「それは…攻撃魔法陣の効果範囲の原理です。」
「あぁ…でもそれだとリーン君に症状が出るのは…」
「おかしい、ですよね?それは簡単です。ついでにこれで、サティスの症状についても解ります。」
そう言ってリーンは説明を始める。
そもそも攻撃魔法陣の効果範囲の原理は、陣に近ければ近い程効果を発揮するという至極単純なものである。勿論陣の中は除くものだ。
つまり陣を発動させたリーンに被害は有り得ないのである。
「僕が暴走した陣から弾かれた時、サティスが陣から遠い場所に僕を飛ばしてくれたんです。」
「そんで俺は数百年前の姿に戻された挙句、余計な物がついたって訳だ。」
「痛かったけどね。お前蹴っただろ?」
「なんだ?鎌で服ボロボロにした方が良かったか?俺はそれでも良かったがな。」
リーンは変態、と悪態をついて顔をしかめる。
ふと、デュードが口を開く。
「なぁ、同じ術かければ手っ取り早く戻るんじゃねぇ?」
「それは無理です。あの術の組み立て方、忘れちゃいましたし」
メモっとけよ。とデュードがすかさずツッコむ。
「多分、術の効果が切れれば戻ると思うんですけど…。」
こうして、ある国ある場所ある四人組は少しの間痛い面子で居る事になりました★
次回『彼?彼女?の憂鬱』お楽しみに!!