「ねぇ先輩、逢いたいんです。逢いたいよ…。」
『あぁ。俺も、逢いたい。
でも、駄目、なんだ。逢いには、いけない。』
「知っています。だから我慢してるんです。
逢いにいけなくて何度泣いたことか!」
『そう、なの?それ、は驚いたな…。
いつも、俺が、甘えて、いいよ?って言うと、直ぐ良いですっ!!って、言う、くせに。』
「面と向かっては言えませんよ。
…ねぇ、如何してなんでしょう?
俺はずっと人が嫌いだった。なのにこんな風に誰かと離れて寂しいと感じるなんて…。
三年前では有り得ませんでした。この髪も、眼球も、全てが疎ましかった。
あの時、ソメイヨシノの木の下で貴方に逢うまで。
今、貴方は僕の心の中の大部分を占めているんですから。」
『…それ、は…遠まわし、な…告白、ととって…良いの?』
「構いません。だって先輩のこと、好きですから。」
『…ねぇ、もう、我慢、できない。逢いたい、お前、に…逢いたい。
今から…行って、も良い?』
「…………………え?」
「此処、開けて?」
その…独特な言葉の区切り方は…。
「…先…輩。何時…から?何時から扉の前に…?」
「今、着いた、んだ…泣くな。泣か、ないで…なん、で…お前、が…悲しくなるの…?」
「うぅっ…!違いま…っ…!嬉しいんです…!もぅ…っ…なんで…?…何で連絡くれないんですか!?電話一本くれさえすれば………!!」
「…ごめん。驚かせ、たかったん、だ…。」
「…今開けます。」
カチャン
「…先輩…。」
「…逢い、たかった…。」
「……俺も、です……。」