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箱豆腐
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非公開
自己紹介:
病名:都会中毒、PC中毒、ゲーム中毒、妄想性

備考:最近ようやく世間慣れしはじめました。

早く大人になりたい一方子供で居たい矛盾で構成されてる。

内向的なので交友関係が狭く浅い。

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爽やかな梅雨の谷間。
久しぶりの休日というのもあって、俺は妻の幸枝と共に散歩に出かけた。
用心に越したことは無いと、傘を持って。

歩き慣れた道を進む。後ろには幸枝が三歩下がってただ付き従っていた。

言葉など無い。必要もない。
言葉など逆に煩わしい。

不意に、幸枝の足音が消えた気がした。
けれど、振り返らない。
妻を―幸枝を心配し、振り返る俺を、幸枝は望んでなどいないから。
例え幸枝が泡となって消えていたとしても、俺は決して振り返りはしない。

顧みたりなど、しない。

壊れた傘を差し、俺は行く。
頬に、雨が流れた。

其処には返れない、帰らない。
俺は最後まで、お前の望む俺で居たいから。


 


三日目の梅雨の谷間。
久しぶりの休日だからと、私は義和さんに連れ添い散歩に出かけた。
用心に越したことは無いと、傘を持って。

歩き慣れた道を進む。前には義和さんが、真っ直ぐ前を見据え歩いていた。

言葉なんて、要らない。
この気持ちは、言葉では伝わらないのだから。

貴方の背中を見つめながら、三歩下がって付き従う。
義和さんは、決して振り返らないだろう。
でも、それで良い。
私の知る貴方は、妻を顧みない人だから。
それが、貴方なのだから。

貴方と居れた私は、本当に幸せでした。
貴方と暮らした日々は、宝物でした。
この三日間は、神様からの贈り物。

後悔なんて、しない。
夫の背中を見て、私は逝く。
涙が、頬を伝った。

過去には帰らない、返れない。
私は最期になっても、貴方を愛しています。

 

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