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箱豆腐
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非公開
自己紹介:
病名:都会中毒、PC中毒、ゲーム中毒、妄想性

備考:最近ようやく世間慣れしはじめました。

早く大人になりたい一方子供で居たい矛盾で構成されてる。

内向的なので交友関係が狭く浅い。

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※前提設定
・主人公幸也は特殊な血を持つ男の子
・吸血鬼のヴェルグ、狼男のガルシュダウト、悪魔のリースミアスによる逆ハー
・妖狐の狐太郎は友人
・妖狐の事情で本文中の表記は小太郎
・基本的内容は推して知るべし。エロはない








「…ねぇ幸也」

「何?小太郎」

「何この風景」


何と言われても、それはこっちが訊きたい。
人間の膝に頭を乗せる狼男と悪魔。
こんな取り合わせ、本でも見たことがない。


「あぁ、小太郎君。いらっしゃい」

「お邪魔してまーす」


部屋に入ってきたのは吸血鬼のヴェルグ。
他二人より明らかに友好的に僕の友人に接触してくれる。いい人…いや、いい吸血鬼だ。


「ユキ、小太郎くん、南瓜プリン食べるかい?」

「いただきます」

「ありがとうございますハーヴェストさん」

「ふふ、もうひとつ作っておいて良かった…所でユキ、そこで寝てる二人を起こしてもらえるかい?」

「あ、はい」


二人を軽く揺らして起こす。
寝ぼけ眼の黒い眼と金色の眼が僕を射抜いた。


「ユキ…」

「ゆー…」

「…おはようガル、リース」


二人とも起き抜けには必ずキスをしてくる。
口にしてこないだけまし、かな。


「…てか、なんでキスするの?」

「未来の嫁さんとのスキンシップは大事だろ」

「…ゆーが大好きだから…」

「ガルのお嫁さんって決まったわけじゃないから。リースも少し控えてほしいな」

「なんで?」

「僕はこういうスキンシップに慣れてないんだ。ビックリしちゃう」

「イギリスでは普通なのに…」


イギリスでは普通でも此処では普通じゃない。
そもそも最初は口にしようとしてたのをガルとヴェルグに止められたらしい。
…なんというか、自分の血に恐ろしさを感じた。





カラーレス・ブラッド
僕の血の通称だ。他にも透血とかいろんな呼ばれ方があるけど、一般的にはこう呼ぶ。
別に僕の血の色が透明と言うわけじゃない。僕の血は、正確に言うと遺伝子は超劣性なのだ。
ファンタジーな具体例で説明しよう。
人間と吸血鬼の交雑で産まれる子はハーフである。
しかし僕の場合少し勝手が違う。
吸血鬼、ひいては異種族との間に子供を作っても、その子供は人間にはならない。
つまり、僕の種族的な遺伝子は一切受け継がれないのだ。

彼らはそれを利用しに来たという。
僕の遺伝子を使って純潔種を増やしたいのだと。
理由は、ヴェルグたち妖怪が、純血種混血種という区別を明確につけたがる性質があるから、らしい。

好きでもない人間、しかも男と子作りしなければいけないなんて、災難な話だ。

と僕なら思う。しかしまぁ、何を間違えたのか彼ら三人は僕を惚れさせる勝負なるものを始めていた。
要は僕を最初に惚れさせた人が最初に…子作り権っていうのかな?を得られるわけだ。
そして今、こうやって熱烈アプローチ(笑)を受けている。
…もうなんか、ご苦労様、という感じである。


「ユキ、そんな優しく起こさなくても良かったのに」

「と、仰いますと」

「頭から落とすとか」


そんなんじゃ死なないしね。とヴェルグさんは呟く。
たまの黒い発言が恐いヴェルグさんだった。






「ユキー。早く口説かれろよー。俺短気なんだぜ?」

「ゆー。俺、ゆーのこと大好きだよ?」

「ユキ、ゆっくりで良いから。俺を好きになってね?」


そう言って僕を口説く三人。
…一人立ちするまで、彼らにほだされなければ、僕は此処から出れる。

確かに、例え本心からじゃなくても、こんだけ美形が揃って口説くんだ。
女の子だったら確実にアウトだ。

でも、ほら、僕男だし。
多分、万が一がなければほだされることは無いと思うんだ。


「はいはい。わかりましたから」

「軽くあしらうねー幸也も」

「そりゃあしらいたくなるよ。最初から体目当てって言われてるようなもんだもん」

「ふぅん…報われないねぇ、お三方も」


報われないとは、小太郎も不思議なことを言うなぁ、と思った。




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「楽しいかどうかは私の決めることじゃないわ。そうでしょ?君が楽しいと感じることが、私にとって楽しいかなんて、解らないもの。」

沢山の工具を引き摺って、魅礼ちゃんは言った。

「例えば、私は彼らが好きだけど君は好きでも嫌いでもない。好きでもない人がこれを理解出来るわけがない。実感できない訳なんだし。」

魅礼ちゃんは道具屋の娘だ。厳格な父と聡明な母、そして鎌や鋸、ドライバー等の農具や工具に囲まれて育った。彼女にとってそれらは兄弟の様なものだ。
だから彼女は道具の整備士をしている。腕も確かだ。
本人は“医者だ”と言っているけれど。


「魅礼ちゃんは、好きなんだね。兄弟が。」

「貴方は?」

「僕はねぇ、兄弟いないから判らないよ。妹みたいに可愛がってる後輩は居るけどね。彼女は友達の妹で僕の妹じゃない。」

「ふぅん。」


然して興味もなさそうな返事だ。多分本当に興味ないんだろう。
彼女が興味を示すのは、もっと別の事。


「じゃあね翔太君。不調があったら、また言ってちょうだい。」

「うん。」

「用途は何であれ、怪我しっぱなしは嫌だもの。」


僕の仕事に嫌悪を持たず、ただ淡々と仕事をこなす彼女が、僕にとっては貴重な存在だ。
可愛い後輩も、不思議な同輩も、その一人。
他の人はきっと、僕を嫌悪しこそすれ、好きになったりはしないだろう。


「魅礼ちゃん。」
「なぁに?」
「ありがと。」


だから僕は、改めてお礼を言った。彼女は薄く微笑んでいた。

「皆と行かないの?」

「俺、能力、非戦闘向き。それと、志願した。」

「自分から…?どうして?」


私の見張りなど、つまらないのではないだろうか。下手をすれば怪我するかもしれないのに。


「動く、嫌い。あと、扇香、一緒、逃げれる。」

「へ、一緒に?」

「俺、隊長、社長、感謝してる。でも、恩、感じてない。隊長、『別に恩は売ってないし、あいつに恩を感じる必要はない。好きなときに抜ければ良い。』言った。」

「けっこうドライなのね。」


森羅さんも、霞月さんも、ユユもそうだ。
この会社にはただ仕事以外には関係ないという感じ。
ビジネスライク、っていうのかな。


「皆、此処、嫌い。隊長、妹、人質。霞月、隊長、人質。ユユ、知らない。」


…つまり、森羅さんは脅されてる。その“社長”という人間に。
霞月さんは、森羅さんを人質にとられている。
ユユはわからないけど、兎に角嫌い。らしい。


「…リーシェンは?」

「どっちでもない。」

「…嫌いじゃないの?」

「…?」

「だってリーシェンは、森羅さんも、霞月さんも、ユユも好きなんでしょ?」

「…。」

「…自分じゃわからない?」


確かに、そういうものだ。
私も、ユユに言われるまで気がつかなかったけど、私はお兄ちゃんっ子なんだそうだ。
自分では自覚できないけど、確かにそうらしい。


「私には、リーシェンがみんなを好きなように見えるの。だから、みんなをイジめる社長が嫌いじゃないかなって。」

「…わからない。断言、無理。」

「…勘違いならごめんね。」

「多分、あってる、思う。扇香、嘘、吐かない。」

「それは買いかぶり。」


リーシェンは、私を誇大評価しすぎだ。
私だって嘘を吐く。あまり綺麗じゃない嘘を。


「…扇香、悪い嘘、吐かない。吐いた嘘、全部、誰かのため。」

「…そんなこと…。」

「能力、隠してたの、日常、壊さないため。」


違う。
あれは、私が弾かれないため。
化物に、ならないため。


「…。」

「なら、一緒、逃げる。」

「え?」

「気を遣う、止める。俺達、一緒、だから、気遣う、しなくていい。」


リーシェンは優しい。
こんな私にも、優しい言葉をかけてくれる。
こんな、臆病な私にさえ。


「…俺、優しく、ない。」

「…なん…で?」


私は驚いた。それは、答えや心を読んだからじゃない。
彼は、私に触れずに心を読んだのだ。
接触感応能力者にはそんなこと出来ない。


「…俺、能力、二つある。接触感応能力、精神感応能力。騙すつもり、なかった。ごめん。」


リーシェンは悲しそうに俯いた。
私は慌てて怒ってない事を伝える。
そうするとリーシェンは嬉しそうに微笑んだ。


「優しいの、扇香。俺、扇香しか、優しくできない。」

「そんなこと。」

「ある。俺、扇香、好き。」


いきなり抱きしめられて私の頭は混乱した。
男の子に抱き締められたことなんて、一度もなかったんだから。
拒絶出来なかった。嫌じゃなかったんだもの。
リーシェンは私に優しい。私の嫌がることはしない。
でも、コレは恋愛感情ではない気がした。


「リー…シェン…。」

「扇香…好き。」


リーシェンの端正な顔が迫る。
突然、ドアが乱暴に開かれた。



◇◆◇◆◇◆◇◆
上手に焼けました!時のちょっと前の扇香視点。

あらすじを説明しますと、ある事情で扇香は誘拐されて軟禁中。
森羅、ユユ、霞月、リーシェンは誘拐を指示した会社側の人間で、リーシェンは扇香に惚れた。
その会社というのが、超能力を使って権力を広めようとする会社で、その会社を潰すついでに、寿衣という少年が扇香を助けに、潰そうとやってきた超能力者にくっついて乗り込んだ。
という話。

行き場がないので此処に格納。



「今日は機嫌が良いから、昔話してやろーか。」

彼はそう言った。
彼の様子は、気配は、人間のそれではない。
それもその筈。彼は人ではない。それよりもっと上位の存在なのだ。
人ではない彼は、久しぶりに自身の依代である少女、囲籠女の自室にやってきていた。

「是非。」

籠女は心の底から喜んだ。
自由奔放な彼の意向、命令で身を引いたとしても、まだ12歳の少女。
何処かで構ってほしいと思う心が、籠女にはあったのだ。

「そうだな…じゃあ、ほんの少し前の話だ。ある村であった、メモの切れ端の様な話。」






『いってらっしゃい。気をつけね。』
『いってきまーす!』

少年が五つのときの話だ。
少年は夏のある日、カブトムシを採りに刹迅神社の裏手に有る森に行った。

『はぁ…っ…はぁ…っもうちょっと…ついたっ!』

刹迅神社は、夏になれば大きな縁日が開かれるが、普段はあまりに寂れた社だった。
社の中には奉られている神、鬼神の像が置かれている。

『ちょっとおやすみ…つかれた…っ!』

虫とり網を放り投げ、神社の階段に腰を下ろす少年。日陰になったその場所で、ひんやりとした空気が少年の肌を撫でた。

カンカン、と何か固いものが落ちて転がる音が、本堂から響いた。

『………?』

不思議に思った少年は中に、本堂に入る。
転がっていたのはビー玉だった。

『きれー…。』
『やろうか?』

声がした。少年とそう変わらない、子供の声だ。
その声は右からとも、左からともつかない所からしている。

『だれ?』
『それ、やろうか?』
『どこにいるの?』
『それ、やろうか?』

どんな問にも同じ言葉しか返さない声を、少年は不思議に思った。
恐怖を感じるには、少年はまだ幼かったのだ。

『…くれるの?』
『あぁ。』
『ありがと…。』

少年が言うと、声は笑った。

『なぁ、遊ばないか?』
『え、でもカブトムシが…。』
『じゃあそれでいい。一緒にカブトムシ、捕まえよう。』

ぎっ
床板が軋む音に振り向くと、後ろに少年と同い年くらいの子供がいた。
手には少年の虫とり網がある。

『お前、名前は?』

声は、問いかけたものと同じだった。

『…律紫。』




彼奴(槐)と律紫の出会い。

世紀の大魔女と称されし少女、リディア=ミリス。彼女は今もどこかで生きていると言われている。しかし彼女の姿を見たものは依然いないのである。


「それはそうよ。今の私は少女じゃないわ。少年だもの。」

「リディさん。」

「今はロイドよ。」

「でも、意識はリディさんです。だからリディさんって呼びます。」

「籠女は頑固ね。そう思わない?鬼神様。」

「槐様は今、獅桜君の所に向かわれています。」

「あら、鬼神様は呼び出した貴女より、分家の男がお好みなの?」

「私も、一緒に居るなら獅桜君の様な心優しい方のお側が良いですからね。それに、槐様の幸せが私の糧になるのです。私は槐様の為に生かされた存在ですから。」

「…私は肉体に依存しないけど、貴方達は肉体に依存するものね。」

「私が居ないと実体化が楽でないと仰っていたので、私が居なくても実体化出来るのだと思います。」

「そう、…そういえば、ロシアンティーのセットを買ったのだけど、飲む?」

「ロシアンティー…いいですね。飲みましょう。」



魔女と巫女の秘めやかなティータイム

(知ってる?ロシアではロシアンティーなんて無いらしいわよ。)
(それは初耳です。)



魔女っ子と幼女は好きです。




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