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箱豆腐
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非公開
自己紹介:
病名:都会中毒、PC中毒、ゲーム中毒、妄想性

備考:最近ようやく世間慣れしはじめました。

早く大人になりたい一方子供で居たい矛盾で構成されてる。

内向的なので交友関係が狭く浅い。

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愛していたのは――





気がついたら、此処にいた。
駅のプラットホームには人が疎らに点在している。
閑散とした町の、老朽化の進んだ駅は今にも崩れそうだった。

暫く突っ立ってて、自分が此処にいる理由を探した。手にはトランクを持っている。
徐にトランクを開けた。手帳が入っていた。手帳しか入ってなかった。
捲るとただ一言、

『愛していたのは、』

…きっと本当で、嫌いだったんじゃない。
それは幻想で、もしかしたら本当は嫌いだったのかもしれない。でも、手帳から感じるのは生々しいまでの現実。
誰が書いたのか、思ったのか、多分自分はその人を見たことはないんだろう。
だから、こんな寒い景色の中で、この手帳の赤だけが、自分を温めた。
思われていただけ嬉しいよ。――さん。

駅のアナウンスが電車の到来を告げる。



愛していたのは、きっと本当で、嫌いだったんじゃない。ただ優先順位が下だっただけ。
貴方の顔、貴方が愛した彼女の顔、見たかったよ。

サヨナラ
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君が初めて作ったショコラは、苦かったっけ。






「久し振り。何年ぶりだ?」
「さぁ。でも、2年は経ってるね、確実に。」

2月14日、俺は高校の同窓生と会っていた。
本当は3日前に同窓会があったのだが、彼は仕事の都合で来ることができなかったのだ。
そんな中、彼は俺にだけ改めて会う事を申し出た。それは、純粋に嬉しいことだった。

「…結婚、したんだってね。」
「あぁ。」
「新婚旅行は何処行ったの?」
「宮城だよ。行きたがってたから。」
「独眼竜?」
「だろうな。」

彼には結婚の事実を伏せておいた。結局ばれてしまったのだけれど。
別に、隠したくて隠していたのではない。俺から言うのはあまりにも気まずいから、言えなかったのだ。

「なんで言ってくれなかったのかは訊かない。なんとなく判るから。」
「そうしてくれ。」
「実はね、俺も結婚するの。去年の今日告白されて、今日俺から結婚申し込んだ。オッケーしてくれたよ。」
「今日?」
「そう、セント・バレンタインデーに、ね。」

バレンタイン。好意を持つ異性、世話になった人への贈り物。
起源とかそんなものは知らない。だが、そういう日なのだ。習慣というものはそういうものだ。

「そういえば、さ。」
「ん?」
「お前の作った…チョコケーキ?苦かったよな。」
「ガトーショコラのつもりだったんだけど?しょうがないじゃん焦がしちゃったんだから。」
「でも、嬉しかったよ。」
「…思い出話はしないでよ。」

さみしくなる、と彼は言った。それは俺も思っている。
楽しい思い出。けどそれは過去。振り返っても変わらない。
例えば、俺と彼が別れたとしても。

「今日会いに来たのはさ、振っ切るためなんだよ。過去の思い出、過去の男とやらをね。」
「結果は?」
「案外簡単に振り切れたよ。さっきチョコケーキだなんて言われた時に。」
「そりゃよかった。お互いの為にも良いことだ。」

別れた。そして互いに違う道を歩んでいる。もう戻らない。
それを後悔するつもりはない。それを承知で別れたんだから。

「じゃあね。」
「あぁ。気をつけて。」
「浮気すんなよ。」
「不倫されるなよ。」
「笑止。」




君が初めて作ったショコラは、苦かったっけ。
本当は、今でも覚えているけれど、
それはもう、忘れることにしよう。

シアワセになるためアナタのシアワセを切る。
私の欲暴のためにアナタのシアワセを奪う。
独りで堕ちていくのは厭なの。
独りでは狂いたくないの。
アナタが欲しいの。
アナタだけが私の全てだから。
アナタ>>>世界が私の方程式よ?

狂え狂えと誰かが言うの。
奪え奪えと心が言うの。
幸を切る交際。コウサイ。幸切。

あいつと居るアナタは嫌い。
その笑顔をあいつに見せないで!
私以外の誰にも見せないで!魅せないで!!
私、知ってるんだから。その笑顔が特別だって。
アナタがあいつを好きだって、知ってるんだから!!!!

両思いだものね。二人で居る時は、とてもシアワセそう。
だから、私はそのシアワセを切りに行くの。
鞄の中の包丁で、切りに行くのよ。
そしてアナタを私だけの物にするの。今からとっても楽しみなの。


駅のホームのアナウンス。“まもなく2番線に電車が参ります。”
この電車はシアワセへの電車、そしてあいつの最期に繋がる。
さぁ電車よ早く来て!待ち遠しいわ。とても、とても!
あのカーブを曲がって電車が来る。早く速くハヤク!
そして電車のライトが見えたとき


後ろから声


“あんたなんかに殺されるわけ無いでしょ?”

“詰めが甘いんだよ、勘違いストーカー女。”

“最期に言っておくけど、拓はもう俺のだから、お前なんかに奪えやしないんだよ。”

“だから、  サ  ヨ  ナ  ラ  ”

背中に軽い衝撃。

浮遊感

また衝撃。

周囲の音が遠い。
悲鳴や怒号、全てが遠い。
視界の端には、あいつの―香山琴葉の姿。
無表情の奥の、残酷なまでのエゴイスティックな笑み。
その笑みに、恐怖を覚えた。
そして理解した。
あぁ、こいつは私なんかより、もっとずっと狂ってる。
羽木谷君のためなら、世界を滅ぼす事すら厭わないだろうし、

私を消す事も、罪悪無しにやってのける。
それが、“義務”であるかのように。

眩い光が迫る。
一瞬、私の身に何が起きているのか、私が何処に居るのか判らなかった。
光の方に顔を向ける。










「ねぇ先輩、逢いたいんです。逢いたいよ…。」

『あぁ。俺も、逢いたい。
でも、駄目、なんだ。逢いには、いけない。』

「知っています。だから我慢してるんです。
逢いにいけなくて何度泣いたことか!」

『そう、なの?それ、は驚いたな…。
いつも、俺が、甘えて、いいよ?って言うと、直ぐ良いですっ!!って、言う、くせに。』

「面と向かっては言えませんよ。
…ねぇ、如何してなんでしょう?
俺はずっと人が嫌いだった。なのにこんな風に誰かと離れて寂しいと感じるなんて…。
三年前では有り得ませんでした。この髪も、眼球も、全てが疎ましかった。
あの時、ソメイヨシノの木の下で貴方に逢うまで。
今、貴方は僕の心の中の大部分を占めているんですから。」

『…それ、は…遠まわし、な…告白、ととって…良いの?』

「構いません。だって先輩のこと、好きですから。」

『…ねぇ、もう、我慢、できない。逢いたい、お前、に…逢いたい。
今から…行って、も良い?』

「…………………え?」
「此処、開けて?」

その…独特な言葉の区切り方は…。

「…先…輩。何時…から?何時から扉の前に…?」
「今、着いた、んだ…泣くな。泣か、ないで…なん、で…お前、が…悲しくなるの…?」
「うぅっ…!違いま…っ…!嬉しいんです…!もぅ…っ…なんで…?…何で連絡くれないんですか!?電話一本くれさえすれば………!!」
「…ごめん。驚かせ、たかったん、だ…。」
「…今開けます。」

カチャン

「…先輩…。」
「…逢い、たかった…。」
「……俺も、です……。」

三月三日といえば、雛祭。かの有名なサンダル巡査長の誕生日でもある。
雛祭は子供の成長を願う行事だったと思う。決して仮装パーティなんかじゃない。
じゃあ、これは一体どういう事?






「きゃー東かーわーいーいー!!!!!!!流石お母さん遺伝子!」
「……………………………………………………
……………………………………………。」

東先輩のお姉さん。そろそろ止めてあげないと…

「市姉…俺はなぁ……着せ替え人形じゃねぇんだっつーのっ!!!!!!!!!!!!!!!!!」

…あーぁ。火山が噴火した。東先輩って血圧高いんだろうな…。

「東先輩。落ち着いて下さい。今脱がせますから。」
「脱がせる?絶対駄目。」
「そうよ永君!受けが攻めを脱がせるなんて!」

…………姉弟揃ってなんて腐った思考を持っているんだろう。

「!待て市姉。俺は攻めじゃない。ただこいつに脱がされるのは我慢ならないんだ。俺はリードしたいの。」

あ、公言しちゃったよ。秘密にしようって言ったの東先輩だったような…。

「あらそうなの!?ごめんなさい!受け攻めの逆転は死活問題よね!!」
「あの、別に東先輩が嫌なら俺は「あら考えたら私お邪魔じゃないの!ごめんなさいねお二人様。お邪魔虫は退散するわっ!!楽しんでちょうだいね!」

話聞いてくださいよお姉さん。なに自己完結してんですか。

「ふぅ脱ぐの疲れた…。さて、永。」
「!はいっ!?」
「なんで裏声なんだよ。そんなに俺とすんのは嫌か?」
「そっそそそそんなことは…!ただ…寮母さんルール破ると後が怖いし…」
「お前…臆病だなぁ…なら…俺以外何も考えられなくしてやる…。」



そもそも俺は雛祭のパーティに呼ばれたから、日帰りの予定だった筈だ。
だけど東先輩がお雛様よろしく和服で登場なすった訳で
更に誘ってきたのは先輩でその気にさせたのも先輩で…………

あぁもう、頭がゴチャゴチャしてきた。
先輩曰く、“これが俺の愛情表現なんだよ。”ということらしい。

まあ良い。こんなことは重要じゃない。
とりあえず今一番重要なのは………




「(無断外泊なんて言い訳すれば…っ…!!)」



おわり

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初めて書いたへたれ攻めと誘い(襲い?)受け
永君は寮生活なので大変でしょう(笑)

雛祭要素はどこへやら……あはは…。


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