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箱豆腐
性別:
非公開
自己紹介:
病名:都会中毒、PC中毒、ゲーム中毒、妄想性

備考:最近ようやく世間慣れしはじめました。

早く大人になりたい一方子供で居たい矛盾で構成されてる。

内向的なので交友関係が狭く浅い。

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「今日は機嫌が良いから、昔話してやろーか。」

彼はそう言った。
彼の様子は、気配は、人間のそれではない。
それもその筈。彼は人ではない。それよりもっと上位の存在なのだ。
人ではない彼は、久しぶりに自身の依代である少女、囲籠女の自室にやってきていた。

「是非。」

籠女は心の底から喜んだ。
自由奔放な彼の意向、命令で身を引いたとしても、まだ12歳の少女。
何処かで構ってほしいと思う心が、籠女にはあったのだ。

「そうだな…じゃあ、ほんの少し前の話だ。ある村であった、メモの切れ端の様な話。」






『いってらっしゃい。気をつけね。』
『いってきまーす!』

少年が五つのときの話だ。
少年は夏のある日、カブトムシを採りに刹迅神社の裏手に有る森に行った。

『はぁ…っ…はぁ…っもうちょっと…ついたっ!』

刹迅神社は、夏になれば大きな縁日が開かれるが、普段はあまりに寂れた社だった。
社の中には奉られている神、鬼神の像が置かれている。

『ちょっとおやすみ…つかれた…っ!』

虫とり網を放り投げ、神社の階段に腰を下ろす少年。日陰になったその場所で、ひんやりとした空気が少年の肌を撫でた。

カンカン、と何か固いものが落ちて転がる音が、本堂から響いた。

『………?』

不思議に思った少年は中に、本堂に入る。
転がっていたのはビー玉だった。

『きれー…。』
『やろうか?』

声がした。少年とそう変わらない、子供の声だ。
その声は右からとも、左からともつかない所からしている。

『だれ?』
『それ、やろうか?』
『どこにいるの?』
『それ、やろうか?』

どんな問にも同じ言葉しか返さない声を、少年は不思議に思った。
恐怖を感じるには、少年はまだ幼かったのだ。

『…くれるの?』
『あぁ。』
『ありがと…。』

少年が言うと、声は笑った。

『なぁ、遊ばないか?』
『え、でもカブトムシが…。』
『じゃあそれでいい。一緒にカブトムシ、捕まえよう。』

ぎっ
床板が軋む音に振り向くと、後ろに少年と同い年くらいの子供がいた。
手には少年の虫とり網がある。

『お前、名前は?』

声は、問いかけたものと同じだった。

『…律紫。』




彼奴(槐)と律紫の出会い。

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